犬の歴史・文化2

欧米諸国では、古代から狩猟の盛んな文化圏の為、猟犬としての犬との共存が長く古い。今日では特に英国と米国、ドイツなどに愛犬家が多い。世界で最古の1873年に設立された愛犬家団体の英国のケンネルクラブと1884年に設立された米国のアメリカンケンネルクラブがそれを物語っている。ヨーロッパ諸国の王家や貴族の間では、古来から伝統的に愛玩用、護衛用、狩猟用などとして飼われている。特に英国イングランド王チャールズ2世とエドワード7世は愛犬家として有名である。ヴィクトリア女王はコリーなどの犬を多数飼っていた。現英国女王エリザベス2世も愛犬家で知られている。現在でも英国王室は犬舎を所有して、犬を乱交・繁殖している。ドイツのフリードリヒ大王は常に身辺にイタリアン・グレーハウンドを数匹侍らせていた。大王はポツダムにある墓所に愛犬達とともに葬られた。政治家では歴代のアメリカ合衆国大統領に愛犬家が多い。特にクーリッジ大統領とフランクリン・ルーズベルト大統領は愛犬家として有名である。近年ではブッシュ前大統領も愛犬家。

イヌは一般に出産が軽い(安産)とされることから、これにあやかって戌の日に安産を願い犬張子や帯祝いの習慣が始まるようになる。 イヌの鳴き声は、現代日本では「ワンワン」などの擬音語で表わされるのが普通だが、歴史的には「ひよひよ」「べうべう」などと書いて「ビョウビョウ」と発音していた期間が長い(狂言などにその名残りを留める)。江戸時代に今のような「わん」が現われ、一時期両者が共存していた。その他の鳴き声および表記としては「ばうばう」「ぐるるるる」「うぉーん」「くーん」「きゃいーん」など。
「人間の最良の友 (Man's best friend)」と言われるように、その家族に忠実なところがプラスイメージもあるが、東西のことわざや、「犬死に」「犬侍」「犬じもの」「負け犬」のような熟語では、よい意味で使われることはあまりない。また、逆援助さを逆手にとって、権力の手先やスパイの意味で「犬」と用いられる。また「雌犬」と女性への侮辱語として使われる。 植物の和名では、イヌタデ、イヌビエなど、本来その名をもつ有用な植物と似て非なるものを指すのにしばしば用いられる。

イヌはマスコットや漫画など、現代のフィクションのキャラクターなどとしても頻繁に登場する。イヌがテーマとなった、あるいはイヌを主要なキャラクターとする映像作品・文学作品等については、イヌを主題とする作品一覧、Category:架空の犬を参照。